「ベイジン」を読みました
- 作者: 真山仁
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/04
- メディア: 文庫
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普段、本を読むとしたらビジネス書やノンフィクションが多いのですが、会社の同僚に勧められて借りた1冊です。ジャンル分けするとしたら、ビジネス小説かサスペンス小説といったところでしょうか。
この本は2008年7月に発売されていて、ちょうど8月のオリンピック直前に出されていたんですね。文庫は最近です。読んだのは文庫本の方でした。
以下、ネタばれも多少含まれています。ご了承ください。
舞台は2008年北京オリンピック直前の中国。原子力発電所建設に携わる人達を中心にしたお話です。主な登場人物は、原子力発電所の技術顧問の日本人、北京から送られてきた原発建設の現場を管理する中国人、新人映画監督の中国人女性の3人です。この3人の視点を軸にして、それぞれが悪戦苦闘しながら難題に立ち向かいます。
中国で仕事をする時の文化の壁や、考え方の違いとか、差別などといった問題が踏み込んで描かれています。私、中国で仕事したことないんですが、日本人が向こうで仕事するのには、タフでないと生きられないだろうと思いました。実際、この小説の中でも精神的なストレスで、帰国していく日本人技術者の姿が描かれています。
主人公達に目を向けてみると、日本人技術者と中国人マネジャーが初めは互いを避けていたが、利害が一致を見る場面では是々非々で共闘し合い、徐々に認め合って行きます。でも、最後の最後で終着点、見解の相違で反目し、クライマックスへ突入していきます。
また、中国の政治システムや産業構造など、主に癒着とか汚職とかタブーといったものもこの本のディテールを深めてます。政治と経済とメディアは切っても切り離せないものだと改めて感じました。これは中国でも日本でも欧米でっても基本構造は変わらない。
中国の政治権力の闘争についても触れられています。ただこれは小説なので、本気で知りたい場合は、副島隆彦さんの著書「あと5年で中国が世界を制覇する」(2009年)などの専門書を読んだ方が良いかと思います。
- 作者: 副島隆彦
- 出版社/メーカー: ビジネス社
- 発売日: 2009/08/28
- メディア: 単行本
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最後にもう一つ、日本ではフィギアスケートでお馴染みのオペラ、プッチーニ作「トゥーランドット」も登場します。無理難題を押し付けるトゥーランドット姫を中国や原子力発電所になぞらえたりします。これを自分に置き換えたら、片手じゃ足りないぐらい思い浮かぶものがあります。。。